【新連載】賀数仁然さんと歩く、沖縄の世界遺産 琉球王国 最高峰の聖地「斎場御嶽」巡り
沖縄には世界に誇る9つの世界遺産があり、約450年にわたり築き上げられた琉球王国の歴史背景や文化に触れることができます。沖縄県民にはおなじみの琉球史ガイド・賀数 仁然(かかず ひとさ)さんと一緒に、沖縄の世界遺産を巡る連載がスタート!記念すべき初回は、琉球神話の神・アマミクによって創られたと言い伝えられる聖地「斎場御嶽(せーふぁうたき)」を訪れました。
琉球王国の原点、神が宿るという聖地「斎場御嶽」へ
2000年に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」としてユネスコ世界遺産に登録された「斎場御嶽」。
琉球の創世神・アマミクによって創られたと伝えられ、琉球の最高神女「聞得大君(きこえおおきみ)」の就任の儀式が行われていた琉球王国最高の聖地です。
琉球王国の歴史や文化を楽しく伝えてくれる賀数仁然さんによるガイドは、沖縄県民でも知らなかった逸話もあって必聴です。
今回の案内人
賀数 仁然(かかず ひとさ)さん
那覇市出身。琉球大学非常勤講師を経て沖縄大学地域研究所特別研究員。
沖縄の歴史文化をエンタメとして発信。琉球歴史ドラマ、ドキュメンタリー、映画、舞台などの脚本・監修など幅広く手掛ける。所長を勤める「クボウグランデ」の歴史ツアーも好評。著書『さきがけ!歴男塾』の最新・4巻が発売中!
まずやってきたのは、斎場御嶽からほど近い知念岬。太平洋を一望でき、久高島が間近に見えます。
久高島は斎場御嶽の東に位置し、琉球開闢(かいびゃく)の神・アマミクが地上に降りたち最初に創った島と言い伝えられ、現在も聖域として大切に守られています。
東のかなたにあり、神々が住む “ニライカナイ”。海と空が繋がる美しい水平線の先にニライカナイがあると信じられていました。
“楽園”といったイメージを持ちがちですが、世の中の良いものも悪いものも、すべてをニライカナイが生み出すという信仰が持たれ、人々はニライカナイに向かって祈りを捧げてきました。
いよいよ、斎場御嶽巡りスタート。神秘的な雰囲気に満ちた森の中を進んでいきます。
仁然さんが指さす先にあるのは「ウローカー」と呼ばれる泉。首里城からウチュー(高貴な方のための輿)に乗ってはるばるやって来た高級神女たちは、湧き水で身を清めてから巡礼を始めたのだそうです。
■拝所①「大庫理(ウフグーイ)」
斎場御嶽には全部で6カ所の“イビ(神が宿る場所)”があります。
拝所「ウフグーイ」では、聞得大君の就任の儀式「おあらおり」の最後の儀式が執り行われたと言われています。石畳でできた舞台の上で、久高島のノロ(神に仕える女性)たちが円になってクルクルと周り、唄と手拍子で「クェーナ」という古謡を歌い、“神アシビ(神様をもてなすこと)”を行いました。
クェーナなどの神歌や神事儀礼は、琉球芸能の原点だとも言い伝えられています。
新・聞得大君の就任式で頭に付けたという通称「キンカブ」。正式な文化財の名称は「金銅雲龍文簪(こんどううんりゅうもんかんざし)」は、職人により細かい彫刻が施された貴重なもの。国宝/重要文化財に指定され、県立博物館で実物を見ることができます。
<知っていた?RYUKYU豆知識>
仁然さんが頭に付けた葉っぱは、カゴを作るときなどに使用される「トウツルモドキ」。久高島の祭礼「イザイホー」といった神に祈る儀式で、白装束を身にまとった神女・ノロが頭に付ける冠「ハブイ」として使われていました。
■拝所②「寄満(ユインチ)」
「ユインチ」とは王府用語で“台所”を意味し、琉球国王自ら、王国の繁栄と五穀豊穣を祈願したと言われています。
当時は、男子禁制で女性のみ入ることが許されていた斎場御嶽。男性である国王は、女装してノロ風の格好をして入っていたそう!
<知っていた?RYUKYU豆知識>
沖縄で古くから伝わる参拝スタイルをご紹介。
写真の仁然さんのように「脱帽し、しゃがんで、手を水平に向けてお参りする」というもの。手を水平にするのは、ニライカナイがあるとされる水平線(海と空の境目)に向けて祈る、という意味合いがあるともいわれています。
神が宿る御嶽や拝所には、お尻を向けてはいけないとも言われています。
■拝所③「三庫理(サングーイ)」
巨大な岩が三角形を描く、神秘的な拝所「サングーイ」。現在は中まで立ち入ることはできませんが、右手にはイビ(神が鎮座するといわれている場所)である鍾乳石「シキヨダユル」「アマダユル」があり、斎場御嶽の一番の見どころとなっています。
東の久高島から、目に見えない不思議なパワー“セジ”が飛んできて、岩壁(三角の右側部分)に当たり、岩自体がパワーを秘めていると言われる唯一無二の拝所です。
三角形の奥の石畳部分は「チョウノハナ」(気/セジが集まる端っこの場所)と呼ばれ、最も神聖な場所と言われています。
太陽とセジの関係としては、東のかなたの「テダガアナ(太陽の穴)」から太陽が生まれ、人々にセジを与えた後、西の「テダバンタ(太陽の崖)」に行って一度消滅します。その後、太陽は大地の地下にあるトンネルを通過することで蘇ります。そしてもう一度テダガアナから生まれ出る。いわゆる“死と再生”を繰り返しながら、私たちにセジをもたらし続ける、と言い伝えられています。トンネルを通ることは特別な事とされ、サングーイを通った向こうは異世界と考えられていたのですね。
<知っていた?RYUKYU豆知識>
サングーイには15個の香炉が置かれています。15代続いた聞得大君の数の分で、一人ひとつの“マイ香炉”があったというわけですね。
仁然さんとの世界遺産巡り。これまで知らなかった斎場御嶽の逸話にたくさん触れることができました。
琉球の歴史ドラマを垣間見ることができる旅は、今後も続きます。第二回も、乞うご期待!
※琉球史や神話においては諸説ありますが、本記事の内容は琉球王朝の正史『中山世鑑(ちゅうざんせいかん)』1650年、1840年の「聞得大君加那志様御新下日記(きこえおおきみがなしさまおあらおりにっき)」といった書物に基づいています。
史跡巡りは、日除けと虫除け、熱中症対策を万全に、歩きやすい服装で行ってくださいね。
〈施設情報〉
斎場御嶽(せーふぁうたき)
[住所] 〒901-1511 沖縄県南城市知念久手堅539
[電話番号] 098-949-1899
[営業時間] 3月~10月 9:00~18:00(最終チケット販売 17:15 / 最終入場 17:30)、11月~2月 9:00~17:30(最終チケット販売 16:45 / 最終入場 17:00)
[定休日] 旧暦5月1日~3日、旧暦10月1日~3日 ※旧暦設定のため毎年変動します。随時ホームページにてご確認ください
[駐車場] あり
[入場料] 大人(高校生以上)300円、小人(小・中学生)150円、6歳以下 無料、団体(大人20名以上)200円 ※すべて税込
[クレジットカード] 使用不可
[電子マネー] 使用不可
[HP、SNS] ホームページ
歴史散策のあとに訪れたい、森カフェの特製スイーツ
たくさん歩く史跡巡り。休憩で立ち寄りたいおすすめのカフェをご紹介します♪
今回は、南城市・新原(みーばる)ビーチ近くの隠れ家カフェ「Café Bean’s(カフェ ビーンズ)」へ。豊かな木々に囲まれたロケーションに癒されます。
大きな窓から森が眺められる、居心地抜群の店内。自家栽培の野菜やハーブを使用したパスタランチや手づくりスイーツがいただけます。
「黒糖ロール」とハーブティーのケーキセット 650円(税込)
スポンジ生地にもクリームにも黒糖がたっぷり。黒糖のジャリッとした食感も楽しめて、やさしい甘さが歩き疲れた身体に染みわたります。
なんと黒糖まで手づくりで、自家農園でサトウキビを栽培し、収穫して搾取から加工まですべて自分たちでやっているのだそう!ケーキの上にのっているかわいいお花は飾りかと思いきや、なんと自家製のエディブルフラワー(食用花)。こちらもちゃんと食べられます♪
バタフライピーと自家製ハーブのブレンドティーは、シークヮーサー果汁を入れると鮮やかなブルーから紫色に変化します。
地元の南城市出身・仲良し3姉妹のアットホームな笑顔に心癒されます。お庭のシンボルツリー・ガジュマルの大木はフォトスポットとしてもおすすめ!
斎場御嶽巡りとセットで、立ち寄ってみてくださいね。
〈店舗情報〉
Café Bean’s
[住所] 〒901-0603 沖縄県南城市玉城百名987
[電話番号] 090-7585-8867
[営業時間] 11:00〜17:30
[定休日] 日、月、火 ※その他、臨時休業あり。詳細はSNSを確認ください
[駐車場] あり
[クレジットカード] 使用可
[電子マネー] 使用可
[HP、SNS] Instagram
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企画・編集:Laifue編集部
文:花城 綾子
撮影:小橋川 恵里奈
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